コラム

第3回 「すぐに役に立つもの」

うまくまとまらないが更新しよう。更新することが大事。言いたいことは伝わるはず・・・。ちなみに、明日は北信越大学サッカーリーグ、北陸大学戦。ちなみに、選手はすでに金沢へ移動。私は本日入試だったので、明日の早朝、出場停止選手と共に移動します。

さて、今回は伊集院静さんの「大人の流儀」シリーズから。ちなみに、ノーマル?、続、及び3「別れる力」の3冊がすでに出版されている。

伊集院さん曰く、
「すぐに役に立つものを手にして何かがうまくいっていると思うな。すぐに役に立つものはすぐに役に立たなくなる」

まさに。

私はスポーツ心理学を専門とする教員であり、「スポーツコーチング論」なる科目も担当している。また、サッカー部の学生を指導する監督(サッカーの指導はあまりしない、というかできないというのが正しいか・・・)として、さらには一教員としても「コーチング」という言葉には敏感なつもりである。

あるプロフェッショナル認定コーチと称する方の本に、
「人は誰でも、やりたいこと、手に入れたいこと、実現したいと思っていることを持っています。それらを実現するための手段はいろいろとありますが、私が今まで出会った中でもっとも速く、もっとも効率よく、もっとも楽しい方法、それが『コーチング』です」、
と書かれていた。
そして、最近では「コーチング」とは、「コミュニケーション・スキル」、「コーチが持っているツール」、「テクニック」、「会話術」、「すぐ使える」などと書かれた本を頻繁に目にする。

様々な考えがあってよいと思うのだが、私が考えるコーチングとは違う。少なくともコーチングの本質は、「スキル」や「テクニック」では語れないと考えている。うまくいかないとき、「How to」がほしくなるのもよくわかる。「効率」や「楽しさ」もある方がよいと一般的には思われる。しかし、それこそ、「How to」ものはすぐに役に立たなくなる(もしくは、最初から役に立たない!?)。メンタルトレーニングなるものも然り(心が「How to」で強くなるならば、みんな心が強いはず!)。そして、楽しいだけのことから得られることも、たかが知れている。

役に立つものを手にするには手間隙(労力と時間)がかかる。さらに、ソフトボール元全日本代表選手で臨床心理士の中島先生は、「無理・無駄・無茶」がそろうと良いとさえ言う。

冒険家の三浦雄一郎さんが75歳で2回目のエベレスト登頂を果たときの第一声、「涙が出るほど、辛くて、厳しくて、嬉しい」、が思い出された(皆さんご存知のとおり、その後、三浦さんは2013年5月に世界最高齢の80歳でエベレストの登頂に成功された)。これほどの無理や無茶はあるだろうか(無駄とまでは言わないが)。「涙が出るほど、辛くて、厳しくて、嬉しい」体験を、いつか味わってみたい。「無理・無駄・無茶」なことには、「楽しい」ことにはない、何か大切なものが潜んでいそうだ。

もう一度言うが、すぐに役に立つものは、きっとすぐに役に立たなくなるぞ(戒め)。

齊藤 茂